熊本県水道事業基盤強化推進協議会 熊本中央地域協議会における検討結果の公表について
熊本県水道事業基盤強化推進協議会熊本中央地域協議会において検討した結果を公表します。 熊本中央地域水道事業における現状と広域連携等の手法の検討結果について
構成団体
熊本市、山鹿市、菊池市、合志市、御船町、嘉島町、益城町、甲佐町、山都町、西原村、大津菊陽水道企業団 1-1 地勢
4市5町1村1企業団で構成される熊本中央地域には、一級河川である白川や緑川、菊池川が流れている。
また、阿蘇外輪山西麓から熊本平野及びその周辺に広がる地域を中心として、広大な地下水盆が形成されていることもあり、地下水が非常に 豊富な地域である。
そのため、この地域のすべての市町村は、水道水源として地下水を利用している。 1-2 水源別年間取水量
本地域の水道水は、約95%が地下水で賄われている。
他の水源種としては、湧水が約4%であり、表流水はごく一部の地域で利用されているのみで、その割合は1%にも満たない。
また、水源として各水道事業者がそれぞれ複数の井戸を保有しており、その合計は200本を超えている。
このようなことから、現況では、水源を近隣事業者と共同で利用する必要性に乏しく、井戸を共同で利用するにしても、現在の利用状況及び 管路等の整備の必要性を考えると費用対効果は小さいと考えられる。
事業者 |
計画1日最大取水量
(㎥/日) |
主な水源種別ごとの年間取水量(㎥) |
年間取水量(㎥) |
熊本市
上水道事業 |
275,000 |
地下水(80,975,119) |
80,975,119 |
山鹿市
上水道事業 |
10,621 |
伏流水(1,034,000) 地下水(2,186,000) |
3,220,000 |
山鹿市
簡易水道事業 |
1,397 |
地下水(374,728) 湧水(24,824) |
399,552 |
菊池市
上水道事業 |
14,630 |
地下水(5,055,446) 表流水(5,579) |
5,061,025 |
合志市
上水道事業 |
24,900 |
地下水(6,947,145) |
6,947,145 |
大津菊陽水道企業団 |
31,310 |
地下水(7,415,135) 湧水(3,040,421) |
10,455,556 |
西原村中央
簡易水道事業 |
2400 |
地下水(655,018) |
655,018 |
御船町
上水道事業 |
10,188 |
地下水(1,049,581) 湧水(1,048,860)
表流水(14,567) |
2,113,008 |
益城町
上水道事業 |
16,000 |
地下水(3,898,878) |
3,898,878 |
嘉島町
簡易水道事業 |
1,753 |
地下水(639,000)予定 |
639,000
(予定) |
山都町
上水道事業 |
4,495 |
伏流水(411,380) 地下水(294,473) |
705,853 |
山都町
簡易水道事業 |
3,316 |
伏流水(234,394) 地下水(316,619)
湧水(320,056) |
871,069 |
甲佐町
上水道事業 |
4,531 |
地下水(1,212,816) 表流水(1,953) |
1,214,769 |
合計 |
398,788 |
地下水(110,380,958) 湧水(4,434,161) 伏流水(1,679,774) 表流水(22,099) |
116,516,992 | 2-1 給水人口の将来推計
【 現状と課題 】
熊本市及びその周辺を除く大半の地域では、将来における給水人口は、数%から最大10%以上減少すると見込まれ、これらの地域の水道事業者 においては、給水人口減少に伴う料金収入の減少が課題となる。 また、今後、「さらなる機器における節水技術の進展」や「利用者の節水意識向上に伴う水道使用量の減少」も予想され、それらによる料金収入 への影響も考えられる。
事業者 |
給水人口(人) |
平成29年度 |
平成39年度(推計) |
増減率 |
熊本市 |
704,557 |
718,318 |
2.0% |
山鹿市 |
31,583 |
27,880 |
▲11.7% |
菊池市 |
35,341 |
34,000 |
▲3.9% |
合志市 |
60,906 |
66,674 |
9.5% |
大津菊陽水道企業団 |
75,081 |
81,284 |
8.3% |
西原村中央 |
3,877 |
4,219 |
8.8% |
御船町 |
16,176 |
15,256 |
▲5.7% |
益城町 |
31,540 |
31,100 |
▲1.4% |
嘉島町 |
0 |
4,393 |
― |
山都町 |
10,203 |
9,312 |
▲8.7% |
甲佐町 |
8,665 |
8,150 |
▲5.9% |
合計 |
977,929 |
996,193 |
1.9% |
2-2 施設投資の将来推計
【 現状と課題 】
過去に設置した施設・管路では、老朽化が進み、大量更新期を迎えたところもあり、老朽化した施設・管路の更新等に加え、基幹管路の耐震化に 要する費用の著しい増加が見込まれる。
料金収入の減少が予想される中、更新における財政投資を一時期に集中させず計画的・効率的に行うには、アセットマネジメント(マクロマネジ メント)を利用して、事業費を平準化した計画の策定が必要となるが、利用しているところは6事業者となっている。
また、水道料金については給水原価が供給単価を上回っているところもあり、施設更新等の財源確保のためにも、今後の料金収入の減少見込み を考慮しながら、適正な料金設定を行う必要がある。
事業者 |
更新費用(千円) |
平成25~29年度平均 |
平成30~34年度平均 |
平成35~39年度平均 |
熊本市 |
2,582,557 |
2,500,000程度 |
2,500,000程度 |
山鹿市(上水) |
93,773 |
120,000 |
120,000 |
山鹿市(簡水) |
2,327 |
31年度末統合予定 |
-
|
菊池市 |
297,599 |
200,000 |
200,000 |
合志市 |
361,163 |
300,000 |
300,000 |
大津菊陽水道企業団 |
591,533 |
700,000程度 |
700,000程度 |
西原村中央 |
36,739 |
197,340 |
118,250 |
御船町 |
125,528 |
150,000 |
100,000 |
益城町 |
300,000 |
300,000 |
300,000 |
山都町 |
4,000 |
47,400 |
68,700 |
甲佐町 |
137,000 |
100,860 |
80,000 |
合計 |
4,471,956 |
5,128,954 |
4,635,369 |
2-3 職員数・年齢構成【 現状と課題 】
地域全体では、職員数は10年前と比べ約3割減少しており、特に、その減少の割合は、給水人口が多い事業者ほど概ね高い傾向にある。
また、年齢構成をみると、半数以上の事業者で、職員の割合が高年齢層ほど高い。
今後、退職者数に応じた補充を行わない(採用者数の抑制あるいは採用見送り)などにより、これ以上の人員削減が進めば、中堅職員や若手職員 が不足するため、技術の継承等が課題となる。
〇職員数
事業者 |
職員数(人) |
平成20年度 |
平成30年度 |
増減率 |
熊本市 |
341 |
213 |
▲37.5% |
山鹿市(上水) |
8 |
7 |
▲12.5% |
山鹿市(簡水) |
2 |
2 |
0.0% |
菊池市 |
9 |
7 |
▲22.2% |
合志市 |
12 |
8 |
▲33.3% |
大津菊陽水道企業団 |
23 |
24 |
4.3% |
西原村中央 |
1 |
1 |
0.0% |
御船町 |
6 |
6 |
0.0% |
益城町 |
8 |
9 |
12.5% |
嘉島町 |
― |
2 |
― |
山都町 |
6 |
7 |
16.7% |
甲佐町 |
3 |
3 |
0.0% |
合計 (嘉島町を除く) |
419 |
287 |
▲31.5% | 〇年齢構成
事業者 |
20代以下 |
30代 |
40代 |
50代以上 |
熊本市 |
37人(17.4%) |
37人(17.4%) |
53人(24.9%) |
86人(40.4%) |
山鹿市(上水) |
|
1人(14.3%) |
3人(42.9%) |
3人(42.9%) |
山鹿市(簡水) |
|
1人(50.0%) |
1人(50.0%) |
|
菊池市 |
- |
2人(28.6%) |
4人(57.1%) |
1人(14.3%) |
合志市 |
2人(25.0%) |
4人(50.0%) |
2人(25.0%) |
|
大津菊陽水道企業団 |
4人(16.6%) |
4人(16.6%) |
7人(29.2%) |
9人(37.5%) |
西原村中央 |
1人(100.0%) |
|
|
|
御船町 |
3人(50.0%) |
1人(16.7%) |
1人(16.7%) |
1人(16.7%) |
益城町 |
|
3人(33.3%) |
1人(11.1%) |
5人(55.6%) |
嘉島町 |
|
2人(100.0%) |
|
|
山都町 |
|
1人(14.3%) |
4人(57.1%) |
2人(28.6%) |
甲佐町 |
|
|
3人(100%) |
|
合計 |
47人(16.3%) |
56人(19.4%) |
79人(27.3%) |
107人(37.0%) | 3 現状と課題の整理(総括)
本地域では、水道事業に係る現状と課題を以下のようにまとめ、水道事業基盤強化のひとつの手法として考えられる広域連携を含め検討を行う。
(1)人口減少に伴う料金収入減少についての課題と対応
今後、料金収入の減少が見込まれる中、その対応策として、広域連携をはじめとするコスト削減の手法について、複数の事業者間で幅広く 検討する必要がある。
また、水道料金については、将来における施設整備・更新計画等を考慮しながら、各事業者において定期的にその妥当性を検討し適正な 料金を保つことが重要である。
(2)施設老朽化に伴う大量更新についての課題と対応
今後、料金収入の減少が見込まれる中、施設の老朽化に伴う更新費用の増大など、水道事業は財政的に厳しい局面にさしかかっている。
そのため、各事業者においては、更新費用をなるべく抑えるため、事業の平準化や優先順位の高い箇所から順次更新を行うとともに、 将来における施設の共同設置や施設の統廃合等によるダウンサイジングの可能性を十分検討し更新計画を策定する必要がある。
(3)人材確保・育成についての課題と対応
経営基盤の強化のためには、水道事業の経営や技術に関する豊富な知識を有する熟練職員や、その知識を継承する若手職員の確保が重要 である。
しかし、人材確保については、水道事業部局以外を含めた定員管理の問題などもあり、柔軟に対応ができていない状況もある。
また、中小規模の事業者においては、職員数が少ないこともあり人材育成が困難である。
こうした状況に対応するためには、同様の課題がある事業者同士で、水道事業に関する知識や技術の継承・習得に向けて、他事業者との 共同研修や訓練の実施など様々な連携手法等について幅広く検討することが必要である。
4 広域連携手法の検討結果(総括)
上記の「現状と課題の整理」を踏まえ、本地域における広域連携等の手法の実現可能性について、下記日程で協議・検討を行った。
会議 |
開催日 |
議題 |
第1回 |
平成30年11月20日 |
- 水道事業の広域連携等の検討について
- 広域連携等の手法と先進事例について
- 今後の検討の手順について
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第2回 |
平成31年1月7日 |
- 中間報告書案について
- 最終報告書の作成に向けた意見交換
|
第3回 |
平成31年2月13日 |
- 最終報告書の作成に向けた意見交換
- 今後の検討対応方針
|
協議検討の結果、次の手法については、実現可能性が高いものと想定され、既に実施している内容の拡充を含め、出来るだけ早期の実現を 見据え、引き続き具体的な実施方法等を協議していくことを確認した。
- 工事標準仕様書の基準等の共同作成
- 資機材等の共同発注及び共同備蓄
- 災害時相互応援協定の拡充及び危機管理マニュアル等の共同作成
- 職員研修の共同開催
- 水質試験・検査、水質管理等業務の共同委託
- 管路・浄水場等保守点検業務の共同化
- 管路診断、漏水調査の共同化
なお、施設の共同設置や事業統合、民間活用等その他の手法については、今後の検討の中で改めてその必要性や可能性を慎重に検討して いくことを確認した。
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