障害者差別解消法における「事業者」とは、商業その他の事業を行う企業や団体、店舗であり、目的の営利・非営利、個人・法人を問わず、同じサービス等を反復継続する意思をもって行う者となります。
改正後
| 行政機関等 | 事業者 |
不当な差別的取扱い | 禁止 | 禁止 |
合理的配慮の提供 | 義務 | 努力義務 →義務 |
合理的配慮の提供とは
●日常生活・社会生活における提供されている設備やサービス等については、障がいのない人は簡単に利用できても、障がいのある人にとっては利用が難しく、結果として障がいのある人の活動などが制限されてしまう場合があります。
●このような場合には、障がいのある人の活動などを制限しているバリアを取り除く必要があります。このため、障害者差別解消法では、行政機関等や事業者に対して、障がいのある人に対する「合理的配慮」の提供を求めています。
●合理的配慮の提供にあたっては、障がいのある人と事業者等との間の「建設的対話」を通じて相互理解を深め、ともに対応案を検討していくことが重要です(建設的対話を一方的に拒むことは合理的配慮の提供義務違反となる可能性もあるため注意が必要です)。
「合理的配慮」の留意事項
●「合理的配慮」は、事務・事業の目的・内容・機能に照らし、以下の3つを満たすものであることに留意する必要があります。
(1)必要とされる範囲での本来の義務に付随するものに限られること
(2)障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること
(3)事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと
過重な負担の判断
●合理的配慮の提供が事業者等にとって過重な負担に当たると判断した場合は、障がいのある方にその理由を説明し、理解や協力を得るよう努めることが望ましいです。
「過重な負担」の有無については、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。
(1)事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
(2)実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
(3)費用・負担の程度
(4)事務・事業規模
(5)財政・財務状況
☆例えば次のような例は合理的配慮の提供義務に反しないと考えられます。
小売店において、混雑時に視覚障害のある人から店員に対し、店内を付き添って買い物を補助するように求められた場合に、混雑時のため付き添いはできないが、店員が買い物リストを書き留めて商品を準備することを提案すること。(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点)
※上記はあくまでも考え方の一例であり、実際には個別に判断する必要があります。